春になると多くの人が悩まされている花粉症。今年も本格的なシーズンが到来した。マスクも進化し、症状に応じた薬もさまざま登場しているが、なかなか防御しきれないのが現実。そんな中、花粉症対策の“最終兵器”として紀伊半島のある村で自生するかんきつ類が注目されている。その実力とは──。
【写真】花粉症対策の“最終兵器”?注目のかんきつ類「じゃばら」がこちら
紀伊半島の中央部にある和歌山県北山村。人口約450人の山林に囲まれた小さな村だが、花粉症に“効く”幻の果実があるという。かんきつ類「じゃばら」。「邪気を払う」ほど酸っぱいことが名前の由来で、世界でもこのあたりにしか自生しない珍しい品種だ。
「酸っぱいだけでなく、独特の香りがあります。果汁や果皮を加工して、ジュースやマーマレードなどとして食べます」
と村の担当者。花粉症対策でじゃばらが注目されているのは、ナリルチンという成分が豊富に含まれているからだ。植物色素のフラボノイドの一種で、花粉症などアレルギー症状の発症を抑える効果があるとされている。
ナリルチンは果汁より果皮に13倍も多くあり、果皮の含量は柚子の7.4倍、スダチの8.7倍、カボスの13.4倍になるとの調査結果が出ている。村が2001年に千人にモニター調査したところ、46%が症状抑制に「効果があった」と回答したという。
じゃばらの関連商品の売り上げは現在3億円ほど。通販サイトの楽天市場に村が開設する「じゃばら村センター」ではさまざまな商品が販売されており、評判も上々だ。じゃばら果汁の商品レビューには、50代の女性が「毎朝リンゴと人参ジュースを作るので果汁も混ぜて飲みます。以前じゃばらを飲んでいた時に、花粉症が軽くなり利用したいと思っていました」と書き込んでいる。
期待が膨らむじゃばらの効果。注目を集める理由は、近年、それだけ花粉症に悩まされる人が多いということだろう。例えば、16年末に実施した東京都の花粉症患者実態調査では2人に1人が花粉症に悩まされているという。10年前の調査では3人に1人だったことから、患者の割合は確実に増えている。