東京・四谷にある「ふたばクリニック」で診療する橋口一弘院長は、花粉症の子どもの患者が多くなっているほか、60代で発症した人や70代の高齢者も来院し、患者はすべての年代で増えていると話す。
「症状は若い人のほうが強く、年齢が上がるほど軽くなる傾向があります。成人には使える薬も多いが、子どもは限られることもあります。子どもはマスクを着けなかったりして予防的なことができず、どんどんひどくなることもあります」
花粉症は鼻や目に入ってきた花粉を取り除こうとして生じるアレルギー反応のことで、アレルギー性の鼻炎や結膜炎などの症状が出る。花粉という「敵」が体内に入ってくるたびに、対抗するための抗体がつくられるが、この抗体は蓄積され、一定量に達すると、アレルギー反応を起こすヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が分泌され、花粉症の症状が出てくるのだ。
根治療法としては、アレルゲン免疫療法が効くという。花粉症の原因物質を、少しずつ濃度を上げ注入していき、防御する免疫を獲得させていく方法で、3~5年程度続け、体の仕組みをつくる。従来は通院時に注射する方法だったが、最近は自宅で毎日、舌の裏側に滴下する方法もある。ふたばクリニックの橋口医師は「免疫療法は効く人にはすごく効く」と話す。3シーズン目でマスクを着けなくても大丈夫な人もいるという。7~8割程度の人に対して効果があるようだ。
とはいえ、花粉症対策は内服薬や点鼻薬、点眼薬など薬物療法がメイン。主な薬の種類は、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、化学伝達物質(原因物質)遊離抑制薬、ステロイド薬、血管収縮薬で、内服薬や点鼻薬、点眼薬のほか、ステロイド薬は鼻噴霧用タイプもある。体内に増えているアレルギー細胞(アレルギー反応を起こす原因物質を分泌する細胞)の働きを抑制したり、原因物質の放出を制限したり、原因物質が神経や血管に作用するのを抑えたりして、くしゃみや鼻水、鼻詰まりなどの症状を抑える。