

落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「発明」。
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ラジオのフリートークでのこと。パートナーが「ノンフライヤーってスゴい『発明』ですね!」と振ってきた。「油を使わずにフライが出来て、しかも素材の油をカットして調理できるんです!」。私は「便利なものって人間をドンドン退化させるよねー、怖い怖い!」と、軽くスルー。「使えばわかる!」「なきゃ使えない!」。押し問答の2週間後、なんとフィリップス社から番組宛てに『ノンフライヤー』が送られてきた。なんで?
担当者からの手紙。「御番組のリスナー様より、汾陽麻衣様(パートナー)が弊社の製品について高く評価をしてくださっている、とお知らせを頂きました。春風亭一之輔様はノンフライヤーをまだご存じないとのこと。実際に使って頂きその性能をご理解頂いてはどうか? とのご提案をリスナー様から頂きました」とある。
番組リスナーがフィリップス社に直接、「一之輔にノンフライヤーを送ってやってくれ。番組の企画も埋まるし、宣伝にもなるし、ウィンウィンなんじゃないか?」な旨のメールをしたみたい。頼んでもないのに、大会社相手にユスリタカリみたいな真似すんなよ! 恥ずかしい。
まあ送られてきたのはありがたい。早速『ノンフライヤー師匠へのヨイショコーナー』をつくり担当者さんにもご登場頂いた。ノンフライヤー師匠、めっちゃ可愛いっ! エレガントなワインレッドに高崎のだるまさんを思わせるポッテリと愛嬌のある身体つき。期待大!
刻んだじゃがいもを入れてダイヤルをひねると「ヌオーーーン」と雄たけびをあげるノンフライヤー師匠。存在感溢れる勇者の咆哮だ。しばらくすると「チーン」という音。軽妙でひょうきんな一面をお見せになる師匠。先ほどとのギャップがたまりません。ツンデレ!
「出来上がりです」と冷静な担当者の声。ハンドルをとって師匠のボディを開けると、なかには熱々のフライドポテトが!!