※写真はイメージです
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行動力がアップする「10秒アクション」 (週刊朝日 2019年3月8日号より)
行動力がアップする「10秒アクション」 (週刊朝日 2019年3月8日号より)

 年のせいか、何となくやる気が出ないので明日にしよう……。いやいや、待っていてもやる気は湧いてこない。具体的な目標を決め、自分で動きだすしかないのだ。心理学と認知行動療法の専門家に、シニアでも簡単に押せる“やる気”スイッチについて教えてもらった。

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 自宅から徒歩15分ほどにあるスポーツジムで毎日、汗を流す70代のアキコさん(仮名)。新しくできたジム仲間と楽しい毎日を送っているが、半年ほど前まではほとんど家から出ない“ひきこもり”状態だった。

 夫に先立たれ、友人は病気で入院。子どもは近くに住むが、疎遠で連絡はない。何もやる気が起こらず、朝から晩までテレビを見る日々。そんなアキコさんを変えたのは、このままではいけないという気持ちで始めた「10秒アクション」だ。

「この方法は、何をするのもおっくうだというときに、“やる気”スイッチを押す効果があります」

 こう話すのは、『本気で変わりたい人の行動イノベーション』(だいわ文庫)などの著書がある大平信孝さん。「アドラー心理学」に基づく技法を活用した目標実現の専門家だ。

 アドラー心理学とは、アルフレッド・アドラー博士が始めた、より良く生きるための自己啓発にもつながるもの。「なぜうまくいかないのか」ではなく、「どうすればうまくいくのか」を中心に考える。いわば、行動を起こすための心理学だ。

「一般的に、自分の思いどおりにならない体験や失敗体験が続くと、やる気が失われていきます。特にシニアの方は、肉体的に今までできていたことができなくなるなど、加齢という現実をいや応なく突き付けられる。加えて、身近な人の死や病気などを経験することで、将来への不安も抱えやすい。それだけに、やる気が失われやすいと考えられます」(大平さん)

 多くの人が陥りがちな、やる気になったら始めようという先延ばしは、あまりおススメできないそうだ。

「なぜなら、やる気は待っていてもやってこないから。面倒でも自らスイッチを押すしかありません。ありがたいことに、押す習慣さえできれば、あとは自然と行動がついてくる。それは楽しく人生を生きるためのきっかけでもあるのです」(同)

 では、その10秒アクションのやり方を紹介しよう。

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