スマホ操作に夢中になると、ついつい浅い口呼吸になりがちだ。こうした“スマホ呼吸”を防ぐためには、普段からの心がけが大切になる。ゆっくりと肩を上げ下げする運動や、息をゆっくり吸いながら横に首を曲げるストレッチなど、呼吸筋を鍛えるための方法を紹介する。
悪い姿勢、喫煙、肺やのどの疾患、アレルギーなどがあれば、呼吸機能の衰えは加速する。そのほか、不安や緊張などのストレスも呼吸機能を低下させるとわかっている。不安や緊張を感じるとき、ドキドキして息が乱れる経験はだれにでもあるはず。リラックスしたときには呼吸が楽になる。
『すべての不調は呼吸が原因』(幻冬舎新書)の著者で、東京有明医療大学の本間生夫学長(呼吸神経生理学)は「心の動きに左右される情動呼吸をコントロールするのは、脳の扁桃体(へんとうたい)です。実はここは感情をつかさどる部位でもあります」という。感情と呼吸は扁桃体で同時につかさどられており、両者は一体化しているとも言えるのだ。
情動呼吸を含め、呼吸は3種類ある。体内の酸素と二酸化炭素の量を調節するのが、代謝性呼吸。脳幹にある呼吸中枢で制御され、無意識に続けている。もう一つが、深呼吸のように意識的にする随意呼吸。大脳皮質がつかさどっている。
よい呼吸を続けるには、これら三つの呼吸のうち、代謝性呼吸と情動呼吸を改善することが大切だ。どちらも、普段から無意識にする呼吸。肺の動きを左右する呼吸筋を強化することがポイントになる。
心臓や腸の動きは、自ら制御できない。ただ、肺の動きは、呼吸筋を鍛えることである程度制御できる。「呼吸筋を伸ばしたり縮めたりしながら、深くゆったりとしたリズムで呼吸するとよいです」と本間学長。薦めているのが、「呼吸筋ストレッチ体操」だ。
■肩の上げ下げ<1セット3回~>
【1】息をゆっくり吸いながら肩をゆっくり上げていく
かかとは床につけたままで
【2】息をゆっくり吐きながら肩を後ろに回して下ろす
このとき両肩を上げ、肩甲骨を寄せるようにして胸を開く
■首のストレッチ<左右1セット3回~>
【1】片方の手を頭の上に当てて、息をゆっくり吸いながら横に首を曲げる
かかとは床につけたままで、もう片方の手は後ろ斜め下へ空気を押すように
【2】息をゆっくり吐きながら元の姿勢に戻す
一般に、呼吸機能を強めるには横隔膜を動かす腹式呼吸がよいと言われる。それに負けず劣らず、胸の呼吸筋も重要な役割を担っているという。