国際物理オリンピック出場やTOEICのハイスコアを誇る“スーパー高校生”たちが東京大や京都大といった難関国立大のAO・推薦入試に合格した。大学側はAO・推薦入試による合格者を増やし、毎年のように合格者が輩出する高校はハイレベルな対応で受験生を後押しする。
【表】難関国立大学の主な推薦・AO入試動向や輩出校などの一覧はこちら
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2月13日、東大や京大といった難関国立大のAO・推薦入試などの合格発表があった。東大の今年の合格者は66人。国際物理オリンピック日本代表、TOEIC985点──。一般の受験勉強レベルを超えた実力を示す高校生が合格した。同日に開かれた記者会見で東大の武田洋幸推薦入試委員長は「多様性と卓越性を備えた学生をきちんと選ぶことができた」と手応えを語った。
東大は推薦入試を導入して4年目。際立つ実績を持つ高校生が合格しているが、課題もある。その一つは募集人員に対し、合格者が少ないことだ。100人程度を募集するが、1年目は77人、2年目は71人、3年目は69人と年々減っている。各高校からは男女各1人しか推薦できない条件はあるが、志願者は200人に届かない。
これについて武田委員長は「ハードルが高いと思われている」点を挙げる。高い語学力や科学オリンピックなどの実績以外に、「きわめて強い関心や学ぶ意欲を持っている」ことも志願要件に入っているが、こうした要件が学生や学校側に伝わっていないと感じている。
他方で、東大の福田裕穂副学長は日本の学生の質に関して、こんな思いを吐露した。
「これまでの教育は『平等にみんな同じ』ということが重視されてきた。『とんがっている子』の数が足りていないという思いも実はある。東大としてきちんと『とんがっていていいよ』というメッセージを出すことが必要だと思っています」
東大と同様に4年目を迎えた京大の特色入試では、前年より10人増え、116人が合格した(法学部は除く)。東大とは対照的に、募集人員に対する合格者の割合(充足率)は年々増加している。代々木ゼミナール教育総合研究所入試情報室の川崎武司室長は、今年の動向についてこう見る。