なぜ高齢者のほうが、フェイクニュースを共有してしまう傾向があるのだろうか。研究者らはその理由について、二つの説明を試みている。一つはネット上のニュースの信頼性を判断するためのデジタルメディア・リテラシーが、高齢者に不足していることだ。若い世代であれば、ネット上には「怪しい情報」があふれていることを肌で理解しているが、高齢者はそうではない。
さらに認知・記憶能力の衰えにより、「真理の錯誤」への抵抗力が低下していることが影響している可能性がある。間違った情報でも、繰り返し見聞きすることで事実だと信じ込んでしまう恐れがあるのだ。この点は、昨年米ピュー・リサーチ・センターが実施した調査で、高齢になるほどニュース記事の事実と意見の判別課題の成績が悪かったという結果とも一致する。
この研究は海外のものだが、日本の状況とも一致する。若者ほどネット上に流れるニュースを疑うリテラシーが高いという調査結果や、保守・排外主義的な書籍を好んで購入するのは主に60歳以上の高齢者というデータもあるからだ。高齢者のネットリテラシーを高めることが、何よりのフェイクニュース対策になるのかもしれない。
※週刊朝日 2019年2月8日号