消費動向の大きな変化のきっかけとなったのは、バブルの崩壊だった。
1991~93年に崩壊し、日本国民、皆が消費することを楽しんでいた時代から一転、平成になると、節約が美徳へと変わり始めた。博報堂生活総合研究所の夏山明美氏はこう語る。
「国や企業が推奨してきた標準のライフモデルが崩れ始め、支えられてきた暮らしから、自分でなんとかしないといけないという個の時代に意識が変化していったのも理由の一つで現実的な消費傾向となった」
終身雇用制度や年功序列で夫は守られ、妻は夫を専業主婦として支える。こうした日本の社会制度は崩壊しつつあり、現在の世帯タイプでは一人暮らしの割合がトップになったという。高齢者の一人暮らしも増えている。こんなデータもある。
総務省の家計調査によると、平成が始まる前、85年の世帯収入の平均は月約49万円、97年には約56万円と上がったが、97年を境に下がり、2017年に、85年と同じ約49万円となった。
バブル崩壊前、専業主婦世帯は共働き世帯を大きく上回っていたが、97年以降は逆転、ところが世帯収入が大幅に増えたというわけではないという。
「この数字が意味するのは、働く女性が増えなければ世帯収入は減るということです。そのため、お金を使ったとしても生活費や子供の養育費が中心となり、貯金願望が強い。年金は支給されるのか、そうした先の見えない不安な社会では、どうしてもお金が循環しない。20代の人でも老後のために貯金を始めましたという人も多い」(夏山氏)
そんな中、家電も激変していく。テレビからブラウン管が消え、ビデオのVHSはDVDに代わり、MDは消え、さらにCDはiTunesのダウンロードに取って代わられた。今では音楽はスポティファイ、LINE MUSICなど月額制のサービスで聴く人が増えている。
平成時代に携帯電話、スマートフォンが流行し、社会を一変させたのだ。
赤電話、テレホンカード、ポケベル、PHSなども消えていく。(本誌・田中将介)
※週刊朝日 2019年1月25日号より抜粋