資産管理に関するセミナー(本文とは直接関係ありません) (c)朝日新聞社
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(週刊朝日 2019年1月4-11日合併号より
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 40代は仕事も子育ても忙しく、老後のことまで考えられない人が多い。年金を受け取り始める60代を前に、資金面から将来設計を見つめ直す時期が50代だ。

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 社会保険労務士でファイナンシャルプランナー(FP)の井戸美枝さんはこう指摘する。

「50代のうちに、もらえる退職金がいくらかを確認しましょう。確定給付型と確定拠出型の二つの企業年金に加入している人もいます。それぞれいくらかを把握しておかないと、老後の計画を立てられません」

 確定給付型は会社が積み立てて運用・管理。退職時に一時金や、年金として受け取れる。確定拠出型は会社が拠出した掛け金を、従業員自ら運用する。運用成績次第で受け取る額が変わる。受け取り方は、一時金か年金、または併用の計3通り。投資信託などで運用中の人は、50代半ばになると資産の目減りを防ぐため、定期預金など元本確保型に乗り換えるのも手だ。

 50代半ばまでにすべきもう一つは、保険の見直し。

「例えば、定期付き終身保険の加入者は、55~60歳ぐらいで主契約の終身保険が満期を迎える人が多い。その際、保険の医療特約が消え、一時払いで医療特約の延長を勧められることがあります。ただ、断ったほうが賢明です」(井戸さん)

 特約のまとめ払いをするので、多額の保険料がいる。その分を貯蓄に回したほうがよいという。契約当時の入院給付金は1日5千円が多く、最近は入院日数が少ないこともあり、支払う保険料のほうが高くつくためだ。

 長生きリスクに備える民間保険もある。その一つが「トンチン年金」。

 公的年金の不足分を個人年金保険で補うねらいで、死ぬまでもらえる終身保険。加入者の被保険者が亡くなったとき、遺族に保険金などが払われず、生存中のほかの加入者の年金原資にまわすしくみだ(年金受け取り開始前だと、約7割の返戻金も)。

「長生きするほど、多くの年金を受け取れます」と井戸さん。

 保険料は月4万~5万円程度。加入年齢50歳、70歳払い済みの場合だと、受取額が払込保険料総額を上回る“損益分岐点”は80代後半~90代になる。井戸さんは「保険料の払込総額は1千万円以上になります。同じ額を銀行の普通口座などに持っておくほうが、突然入院して現金が必要なときなどに役立ちます」と話す。

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