寝たきりで話すことができない患者と、黙々と体位を変え、点滴を変え、痰を吸引する看護師。そこは物音ひとつしない世界だった。さらに、長女は、久保木ではないが、突然怒ったり、大声を上げたりする看護師を見かけたこともあったという。

「最期を安らかに過ごすための病院なのに、まったく違っていました。もっと環境が良ければ、久保木容疑者のような看護師は生まれなかったのではないでしょうか。彼女を擁護するつもりはまったくありませんが、彼女が目指していたのは、こういう看護じゃなかったのだと思っています」

長女は「久保木容疑者には謝ってほしい」という。同時に、なぜ父親をあの病院に入れてしまったのか。別の選択肢はなかったのか。その後悔も消えない。だが、何より強いのは「病院に謝ってほしい」という気持ちだ。

 12月24日現在まで病院関係者からの謝罪はない。テレビでみた謝罪会見のみ。

「終末期医療を受けられる病棟は、これからも必要な存在であることはわかるんです。でも、看板を掛け変えれば済むという問題ではないですよね。そういう責任の取り方でいいの?と思います」

※週刊朝日オンライン限定記事