雨宮:ガンコなんでしょうね。自分のペースで行かないと気持ち悪いというか。
林:あのころ「女子アナブーム」というのがどんどんふくらんでいきましたよね。ブームから逃げ出したいというのもあったんですか。
雨宮:そこまでブームと思ってる人は、TBSは少なかったような気がするんですけど、そこに苦しんでる人は多かったかもしれないですね。世間で言われる「女子アナ」という部分と、「自分たちは会社員」という部分のギャップが埋められないで苦しむ人は多かった気がします。
林:名前と顔は世間に知られていても、電車で通わなきゃいけないし。
雨宮:あとをつけられてコワい目にあったりとか。タレントさんに近いと思われている部分と、本人の気持ちの中のズレというんですかね。
林:思い切って行ってよかったですね。雨宮さん、フランスでもモテモテだったんじゃない? 私の友達でも、パリの街で男の人に通せんぼされて「君のケータイの番号を教えてくれないと通さないよ」って言われた人がいましたよ。
雨宮:まあ、素敵。私はそんなことはなかったですけど(笑)。でもフランスでは「結婚してるから」とか「子どもがいるから」とかは関係ないところがありますよね。年齢を重ねた女性がすごく輝ける国だと思いますね。
林:雨宮さんもマダムとしてパリで素敵な時間を過ごしてたわけね。結婚して二人のお子さんにも恵まれて。
雨宮:離婚しましたけどね(笑)。
林:でも、フランス婚という方法もあったんでしょう?
雨宮:事実婚ですね。たまたま相手が日本人で、あまり疑問も抱かず日本式のふつうの結婚をしましたけど、フランスで籍を入れているので、共同親権なんです。「親権は当然共同だよね」ということで、離婚しても子どもの親権は彼と私にあって、それで今があるんです。
林:お子さんたちは、フランス語で話してるんですか。
雨宮:きょうだい間はそうですね。バイリンガルの学校に通っていて、他に英語、中国語、イタリア語もやっています。娘はダンスにも情熱があって、教室をかけもちしているんですけど、今と同じ環境が日本でも得られるかといったら難しいかなとも思うんです。
林:それで辻仁成さんなんかも、お子さんと向こうで生活してるのかもしれない。
雨宮:きっとそうだと思います。ただ、フランス社会で働くという具体像はまだ娘の中でないみたいで、もしかしたら大学は日本という選択を彼女がするかもしれないし、そのときは柔軟に動こうと思います。
(構成/本誌・松岡かすみ)
※週刊朝日 2018年12月21日号より抜粋