

「チューボーですよ!」で人気を博し、女子アナブーム真っ只中の1999年にTBSを退社し、渡仏した雨宮塔子さん。現在は、報道番組「NEWS23」(TBS系)のメインキャスターを務める雨宮さんが作家・林真理子さんとの対談で、当時の女子アナブームを振り返りました。
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林:今、お子さんはおいくつなんですか。
雨宮:上が15歳、下が13歳です。上が娘で、下が男の子で。
林:もうそんなに大きくなったんですね。学校のことは、別れたご主人がやってくれてるんですか。
雨宮:子どもが自分で対処することが多いです。だから強くたくましくなってくれてますね。子どもたちにこれだけのバイタリティーがなかったら、私、とっくにパリに戻っていたと思います。
林:私は、親が子どもにべったりするのがいいとは思ってなくて。うちの夫は「もっと子どもといてやれ」ってキーキー言いますけど、母親が楽しそうに生きてるって、子どもにとっても非常に重要なことだと思うんです。
雨宮:それ、フランス的な考え方ですよ。「お母さんが家庭で笑ってないと、子どもは幸せになれない」ってみんな言います。
林:私もそう思います。私がある雑誌に「しなかった後悔は日に日に大きくなるが、した後悔はどんどん小さくすることができる」って書いたら、雨宮さんも同じことを言ってましたよね。
雨宮:私も本当にそうだなと思ったんですよ。しなかった後悔って、たぶん死ぬまで引きずっちゃうと思うんです。
林:やった失敗なんて、大したことじゃないもんね。
雨宮:自分で選んだことだから、腹くくれますよね。「もし戻れるとしたら、どういう決断をしたと思いますか?」ってよく聞かれるんですけど、やっぱり同じ決断なんです。
林:TBSをやめたのは、パリに行って美術史の勉強をしようと思ったからでしょう?
雨宮:美術史にはもちろん興味があるんですが、やっぱりそれはこじつけですよね。「行きたい」という気持ちがあって、番組も会社もやめて行くので、それなりの理由づけみたいなところもあったんです。
林:あのころ、バブルはもう終わってましたっけ。
雨宮:終わってました。私、93年入社なんです。
林:でも、お給料はメチャクチャよかっただろうし、「チューボーですよ!」で人気は出たし、「べつにやめる必要ないのに」ってみんな思ったんじゃないですか。