この朝寝坊によるからだの時間と社会的な時間のズレから生じる不調は、旅行による移動はなくても時差ぼけと同様と考えられるようになり、「社会的ジェットラグ(社会的時差ぼけ)」と呼ばれるようになってきました。
普段の生活でも、平日の睡眠不足の影響もあって週末に朝寝坊、いわゆる寝だめをすると、かえって休み明けにつらい思いをすることになります。これが社会的ジェットラグであり、すでに多くの方が経験されていることでしょう。大人だけでなく子どもたちの睡眠負債(寝不足の蓄積)や社会的ジェットラグも深刻です。休み明け、とくに夏休みや冬休み明けに登校が難しくなるお子さんが増えるのは、休み中の朝寝坊による社会的ジェットラグの影響があるとも考えられます。
社会的ジェットラグは、仕事のある日(平日)と仕事のない日(休日)の睡眠時間の中央時刻のズレを指標にします。
たとえば、平日0時に寝て6時に起きている場合の中央時刻は3時。この人が週末に2時に寝て10時に起きたとすると中央時刻は6時であり、平日の3時との差である3時間の時差が生じたことになります。およそ3時間の時差がある国はインドなどです。
社会的ジェットラグは、メタボリックシンドロームのリスクを高めるなどの影響も報告されています。
(文/近藤昭彦)