社会的ジェットラグは、仕事のある日(平日)と仕事のない日(休日)の睡眠時間の中央時刻のズレを指標にする(写真:getty images)
社会的ジェットラグは、仕事のある日(平日)と仕事のない日(休日)の睡眠時間の中央時刻のズレを指標にする(写真:getty images)
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明治薬科大学リベラルアーツ准教授・駒田陽子氏(写真/本人提供)
明治薬科大学リベラルアーツ准教授・駒田陽子氏(写真/本人提供)

 正月は仕事を離れて、日ごろの疲れを癒やすため、思う存分眠りたい……。そんな「寝正月」を楽しみにしている人も多いだろう。しかし、こうした普段とは違う睡眠リズムのズレが、「時差ぼけ」を招くことがあるという。国内にいながら時差ぼけがおこるしくみなどを、時間生物学が専門の明治薬科大学リベラルアーツ准教授・駒田陽子氏に解説してもらった。

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 ちょっと朝寝坊、1年分の睡眠不足解消のために寝正月……こんな生活によって、週明け・正月明けには、海外から帰国したのと同じくらいの時差ぼけに見舞われるおそれがある、ということをご存じでしょうか。

 海外旅行で東西に移動したときにおこるのが、「時差ぼけ」です。しかし、国内にいながら年末年始の過ごし方次第で、仕事始めや新学期早々、心身が時差ぼけ状態になる場合がある、との考え方が広まってきました。

 私たちのからだには、特定の遺伝子のはたらきによる体内時計が備わっています。体内時計が正常に機能することで、血圧やホルモン分泌などを調整して、昼間は活発に行動し、夜間はリラックスして眠るという生活のリズムをつくっています。

 この体内時計は、私たちが普段使っている、1日24時間のサイクルを基準にすると 1日が10~30分ほど長くなっています。この周期のズレは、朝の光を浴びることでリセットされ、体内時計によるからだの時間を社会的な時間と一致させることができます。朝、起きてさまざまな行動を始めることで、無意識のうちに、毎日、体内時計をリセットしているのです。

 では、朝寝坊をして、いつもより遅い時間に光を浴びるとどうなるでしょう。体内時計はいつもより遅い時間を朝だと認識してしまい、社会的な時間とからだの時間にズレが生じてしまいます。すると、朝寝坊した翌日に、いつもの時間に起床したとしても、活発に活動するための血圧やホルモン分泌が整わず、しばらくボーッとしたりする心身の不調を招くことになります。

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ポイントは「中央時刻」