

マラソンシーズン真っ盛りの今、ランナーが熱い視線を送る靴がある。ナイキの厚底シューズ「ズームヴェイパーフライ4%」だ。
2月の東京マラソンで、設楽悠太(26)が日本記録を16年ぶりに塗り替えたのは記憶に新しい。10月のシカゴマラソンでは大迫傑(すぐる・27)が記録をさらに更新。2人が履いていたのが、このシューズだ。12月2日の福岡国際マラソンで優勝した服部勇馬(25)も着用した。
かかと部が高く、靴底の厚みは最長4センチほどある。ジョギング用では厚底がこれまでもあったが、競技用は薄底が一般的だった。
「速く走るために、シューズがすごく役立っている。地面の衝撃を吸収してくれ、疲労回復が早い」
リオデジャネイロ五輪の男子マラソン金メダリスト、ケニアのエリウド・キプチョゲ(34)は、11月の来日時、厚底シューズについてそう答えている。9月のベルリン・マラソンで従来記録を78秒縮め、世界新を樹立した際、この靴を履いて走っていた。
元箱根駅伝ランナーで、スポーツライターの酒井政人さんは「厚底なのにレーシングシューズという点が新しい。カーボンファイバーという特殊素材が使われています。実際履きましたが、見た目より軽い。ソールが柔らかく、グーンと加速できるイメージで気持ちよく走れました」と話す。