委員会から退出する際、片山氏は「(野党は)何を聞きたいのかわからない」という言葉を漏らしていた。

 N氏 は本誌の取材に対し、「北京に海外視察に出かけた時は京成上野駅で片山氏と待ち合わせ、スカイライナーで一緒に成田空港へ行った。搭乗時間ギリギリで北京行の飛行機に乗ったのでよく覚えている」「片山氏とは北京、香港、ベトナムなど計4回、海外視察に行っている。香港は現地で待ち合わせしたが、それ以外は2人で一緒に日本から行った」などと証言していたのだが……。

 政治評論家の小林吉弥氏は、野党の追及不足を指摘する。

「野党は取材不足が露呈し、週刊誌に頼ってばかりで、森友・加計問題と同じことを繰り返している。政権に勢いが欠けてきている中で、この臨時国会で攻め切れないと、来年の統一地方選、参院選に影響が出てくる。野党の力量が問われています」

 片山氏ともう1人、問題になっている桜田義孝五輪担当相が、二階俊博幹事長の派閥であることが今後、政局のポイントになるとの指摘もある。

「安倍(晋三)首相としては、傷口が広がらないうちに、2人の大臣を更迭したい。しかし、二階氏を刺激したくないというのが本音。二階派の2人を切った場合、二階氏の力は衰え、立場がなくなってしまう。首相にとって怖いのは、二階氏が、反安倍に転じること。そうなると強力なリーダーシップをとれる人がいなくなり、通常国会の党内運営危うくなります。憲法改正にも間違いなく響くでしょう。

 今国会で進めている入国管理法や改憲案提示も、二階氏の力は欠かせません。今国会が終われば、二階氏の責任を問うこともできるし、櫻田、片山両氏を切る口実もできる」(同前)

 問題の2大臣を更迭する場合は、時期は年内がベストという。

「年が明けると、通常国会が開かれ、野党からまた追及を受ける。そうすると、安倍政権の支持率に直結してくるため、統一地方選や参院選に響いてきます」(同)

 最近、笑顔が少なくなったとされる安倍首相。自民党の悩みの種はまだまだ尽きなさそうだ。(本誌・田中将介、上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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