大人女子たちはおしゃれをしたがっている。宝島社のムックや大山さんのように、今の彼女たちが無理しないで着られるような洋服が提案できれば、自然に売れるのだ。

 青春の一コマと言えば音楽。平日の午前、ヤマハの音楽教室には大人女子たちの歌声が響きわたる。昨年から全国展開が始まった「青春ポップス」の風景だ。

 60~80年代中心のヒットソングを、講座用のビデオ映像を見ながら歌って踊る。尾崎紀世彦の「また逢う日まで」やチューリップの「心の旅」など男性向きの歌も多く、ヤマハも一定程度の男性の参加を見込んでいたが、フタを開けてみると9割以上を大人女子が占めている。9月末で生徒数は9650人。なお右肩上がりに増えているという。

「GINZA SIXや渋谷のヒカリエなど、大型商業施設を支えているのも大人女子たちですね。飲食フロアでは特に目立ちます」(先の阪本所長)

 大人女子が主力読者の雑誌「ハルメク」の元編集長でコラムニストの矢部万紀子さんによると、情報感度がかなり高い世代でもあるという。

「読者会で話していると、孫とLINEでやり取りしたり、娘とはグーグルカレンダーを共有したりで、世間のイメージよりずいぶん進んでいらっしゃいますよ。私が編集長のときに始めたスマホの使いこなし術の企画はヒットしましたね」

 大人女子たちのアクティブぶりは、とどまるところを知らないようだ。先の阪本所長が改めて念を押す。

「これからの高齢社会は、『おじいさん』や『おばあさん』が増える従来型の高齢社会ではありません。元気で若々しい高齢者たちが街にあふれる、生き生きした社会です。もはや高齢社会ではなく、『人生100年時代』なのです。中でも元気なのが大人女子です。組織で生きてきた男性は会社を辞めるとある種の『終わった感』が漂いますが、女子たちには子育て終了に伴った『これから感』があります。勢いがあるほうを押せば、新しい消費が生まれるはずです」

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