「おっさんずラブ」撮影中の田中圭さん(右)と、演出の瑠東東一郎さん
「おっさんずラブ」撮影中の田中圭さん(右)と、演出の瑠東東一郎さん
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「大好きです」

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 インタビューの最後に、田中圭さんに一言メッセージを、と頼んだところ、「おっさんずラブ」の演出を担当した瑠東東一郎さんは、即座にそう口にした。ちょっと、はにかみながら……。誌面(週刊朝日11月2日号)には載せきれなかったインタビューを完全収録。

* * *
 田中圭くんとの出会いは、2016年に放送された単発版の「おっさんずラブ」。撮影初日のことが、鮮烈な記憶として残っています。最初に撮影したのは、連続ドラマ版の第2話にもある、部長と後輩とが、圭くん演じる春田創一を男同士で取り合うシーン。このシーンがどうなるかによってドラマ全体が変わるような、とてもリスキーな場面なんですが、そのときの圭くんの芝居がすごかった。

『(春田の)悪いところ、10個言えますか』と挑まれた部長が、「優しすぎるところ、格好良すぎるところ……」と何故かいいところを挙げていくのを聞いていた圭くんが、うれしそうな顔をしたんです。2人の喧嘩を必死に止めようとしている場面で、そんな表情をするのか、そういう引き出しがあるのか、と目を奪われた。圭くんの魅力がものすごく出ていると思いました。

 結果として、春田というキャラクターは、かなり圭くん本人に影響を受けたように思います。より“生っぽい田中圭”を撮りたいとスタッフに思わせる力が、彼にはありました。

 圭くんが演じたことによって、春田がいちばん変わった点は、よりかわいらしくなったことだと思います。つまり、圭くん自身がかわいらしい(笑)。僕が個人的にいちばんかわいいなあと思ったのは、第1話で、林遣都くん演じる後輩の牧に「やってみ~?」っていう場面かな。こんな顔されたら好きになっちゃうな、と男の僕でも思いました(笑)。

 「おっさんずラブ」は、その場その場で生まれる芝居を、できるだけ活かそうとしたドラマでした。とくに後半は、圭くんも、芝居をやってみて、そこで何を感じるか、自然に出てきたものを大切にする、というスタンスになっていったと思います。もちろん彼のなかにプランを持ってはいるんですが、顔を突き合わせて芝居が始まったら、自分が、相手が、どう反応するかを大事にしていたし、僕らはそれを大事に撮ろうって空気がありました。

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田中圭の演技にヒリヒリする理由