「ストリッピング・ペーパー」は、スローなロック・ナンバーで、コステロならではの曲調だ。ヴィブラート交じりの独特の歌いぶりを聴かせる。結婚生活が崩壊した主人公が、持て余した時間に壁紙をはがしながら、過去の出来事を思い出すほろ苦い歌詞だ。
「アイ・レット・ザ・サン・ゴー・ダウン」は、昨今のイギリスの社会事情を背景に“大英帝国”の今を歌う。
ボーナス・トラックが4曲。スティーヴ・ナイーヴの繊細なピアノをバックにしたバラード「イザベル・イン・ティアーズ」、フランス語を交じえて歌うシャンソン風の「アデュー・パリ」、哀感のこもった「ザ・ファイナル・ミセス・カーテン」などは聴き逃せない。
ロックン・ロールの枠をはみだした豊かな音楽性、軽快なポップ・サウンドに加え、メランコリックなバラードの味わいもある。なによりも説得力豊かなコステロの歌声に圧倒される傑作アルバムだ。(音楽評論家・小倉エージ)
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