写真はイメージです (c)朝日新聞社
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CGA基本チェックリスト(一部) (週刊朝日2018年11月2日号より)
CGA基本チェックリスト(一部) (週刊朝日2018年11月2日号より)

 日本老年医学会は昨年、65歳以上の生活習慣病の治療方針を示した「高齢者高血圧診療ガイドライン2017」「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」などを公表。これらを踏まえ、「脂質異常症」「不眠症」について、高齢者が治療薬とどう付き合うべきか専門医に聞いた。

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■脂質異常症

 高血圧や糖尿病では65歳以上の目標値が設定されているが、脂質異常症にはそれがない。日本老年医学会理事で千葉大学大学院医学研究院教授の横手幸太郎さんは、「LDLコレステロールや中性脂肪については、低血圧や低血糖のような薬の副作用が出ないため、若い年代と同じ設定」と説明する。ただ、それでも薬の見直しは必要だという。

「脂質異常症は、高血圧や糖尿病、喫煙、加齢などと同じく動脈硬化のリスクファクターですが、高齢になるほど他の要素の重みが増えます」

 75歳まではしっかりと治療し、それ以降は個別に対応するのが基本スタンス。要介護状態の人や、進行がんの患者は減薬や薬の中止も検討し、過去に心筋梗塞などを発症した人やアクティブに活動する人はしっかりと治療をする。

 脂質異常症で高齢者に使いにくい薬は、中性脂肪を下げる作用のあるフィブラート系の薬だ。フェノフィブラート(トライコア、リピディル)などになる。

「腎臓の悪い人に使うと血中濃度が上がり、副作用のリスクが高まるのです。高齢者は加齢によって腎機能が若いころより落ちているので、通常量でも過剰投与による副作用が出やすいといえます」(横手さん)

 とくに注意しなければならない副作用が、横紋筋融解症だ。骨格筋を作る細胞が壊死したり溶け出したりすることで、筋肉の成分が血液中に流れ出た状態をいい、急性腎不全を起こしたり、突然の心停止が生じたりする恐れがある。

「フィブラート系の薬を飲んでいるときは、定期的に肝臓や腎臓の検査を受ける必要があります。腎機能の指標である血清クレアチニンの値が1.5mg/dL以上だったら、腎臓の働きが悪くなってきている証拠なので、薬を半減したり、中止したりします」(同)

 高齢者はコレステロールの値が高いほうがいいという話も聞く。これについて横手さんは「それは正しくない」と反論する。

「少なくとも、75歳未満は値の低いほうが、心筋梗塞などの予防効果が研究で認められています。既往歴がある人や喫煙者は、しっかりと治療をしたほうがよいでしょう」(同)

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