これは、顧客に約束する運用利回りである予定利率が高いからだ。米ドル終身保険だと「3%」程度が多く、0.2~0.3%台の円建て商品と比べると見た目からして違ってくる。

「日本で最初に発売された外貨建て保険に加入したことがあります。満期のある商品でしたので、すでに保険金を受け取っていますが、加入後に円高になっても、支払った保険料よりも多い保険金を受け取りました。予定利率が高いのが理由ですね」(先の畠中さん)

 ともあれ、今後は相続税の非課税枠にも「外貨建て」保険が使われるようになるのか。いくつかの大手生保に販売現場の様子を聞くと、円建て終身保険よりも外貨建てのほうが「数多く売れている」ことは確かなようだ。買い求める客層については、

「外貨建ては為替リスクがあることなどから、より若い年代の人が買うケースが多い。高齢になるほど安全安心を求めて円建てを好まれます」

 とするところもあったが、

「退職金などまとまった資金をお持ちの高年齢層の方も買っておられます。相続税対策をお考えの方も一定数いらっしゃると見ています。それも増えているのではないでしょうか」

 と答えるところもあった。

 どうやら、マイナス金利政策の影響は相続の現場にも及んできているようだ。為替リスクが自己責任になることは、個人に対する政策の「副作用」にも見える。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2018年11月2日号

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