今春、標準生命表が改定され、長寿化の影響で死亡保険の保険料は下がった。となると「掛け捨て定期」は使えないのか。月額保険料を調べると、安い順ベスト3は「1万1075~1万2150円」と月払いよりは安かった。しかし、今度はいずれの商品も保障期間が「90歳」までなのだ。安いものだと90歳までの30年かけても保険料は約400万円で済むが、それまでに死亡しないと支払った保険料が無駄になってしまう。

「平均寿命を考えると、かろうじて男性は検討対象になるでしょうが、女性は難しいですね」(FPの畠中さん)

 こうして見ていくと、「円建て」商品で非課税枠を埋めるのは、今は厳しい状況であることがわかる。

 一時払いなど終身保険の保険料が高くなっているのは、日銀のマイナス金利政策の影響だ。金利の低下で保険会社の運用利回りも下がるため、保険料を高くせざるを得ないのだ。一時払い商品の販売を停止している保険会社も多い。

 ならば、相続税の非課税枠を利用しての準備は今からはできないのか。「そんなことは、ありません」と言うのは、先の畠中さんだ。

「外貨建ての保険商品が検討対象に入ってくるのではないでしょうか。外貨での運用となるため為替リスクはありますが、死亡保険金は外貨建てでは保証されています。米ドルなどは金利が日本よりは高いので、条件は円建てよりも有利なはずです」

 調べてもらうと確かにそうだった。様々な終身保険があり、円建て商品とパラレルに比較できないのがもどかしいが、例えば、米ドル4万5千ドル(1ドル=約113円で計算すると約510万円)を一時払いする終身保険。加入当初の死亡保険金は保険料と同じ4万5千ドルだが、加入後15年間は毎年約3.2%の割合で死亡保険金が増えていくのだ。15年後の死亡保険金は「約6万6700ドル」。ドル建てだと約48%増だ。

「保険クリニック」によると、総じてこのように死亡保険金が増えていく商品が外貨建てには多いという。先の商品は15年間で増額は打ち止めだが、利率は一定期間ごとに見直されるものの、ずっと死亡保険金が増え続ける商品もある。

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