歯科医師のプロフィルにしばしば紹介されているのが、◯◯専門医や◯◯認定医などの肩書です。さまざまなものがありますが、果たして持っているとどのくらい「すごい」のでしょうか? 一方で、学会に所属すれば、ほとんどの歯科医師が取得できるとうわさされている資格もあります。実際のところはどうなのでしょうか? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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学会をはじめとした団体が、専門知識と技術を持った歯科医師を養成するために設けているのが認定医や専門医の制度です。歯科医師にとっては、こうした肩書は得意分野をアピールし、患者さんから信頼を得ることにもつながります。一方、専門医の証明書や表彰盾(たて)の発行にはお金が必要で、これは学会を運営するための収入にもなっています。
スキルの違いについては各学会によって認定基準や審査基準がまちまちなので明言はできませんが、一般的に認定医よりも専門医のほうが上と考えられています。ある学会では認定医を取得しないと、専門医の試験が受けられないようになっています。参考までにさらにその上には指導医といって、認定医や専門医を指導することのできる資格もあります。
その分野の専門としてやっていきたいと思ったら、「認定医ではもの足りない。少なくとも専門医を取得したい」というのが多くの歯科医師の考えです。
学会ごとに認定している専門医ですが、厚生労働省が認可したものと、そうでないものの2種類があります。
厚生労働省に認可されるためには学会がその申請をし、審査を受ける必要があります。認可の条件として学会の会員数が一定以上であることや活動実績、受講の条件や資格試験の内容、さらに資格の定期的な更新制度などがあります。いわば、専門医制度の内容に国からお墨付きをもらえたものが「厚生労働省認可の専門医」なのです。
なお、2018年10月現在、厚生労働省に認可されている歯科専門医は、「口腔外科専門医」「歯周病専門医」「歯科麻酔専門医」「小児歯科専門医」「歯科放射線専門医」の五つです。これらの専門医は、広告可能な専門医資格でもあり、ホームページなどの歯科医師の紹介で掲載することができます。