「歩くことを意識すれば最低でも1日4千~5千歩はいくはずです。歩こうと思って3千歩を切るようでは、知らず知らずのうちに日常生活に制限を加える息切れがあると考えられます。40歳以上で喫煙歴のある人は肺機能のチェックをしたほうがいいでしょう」

 仮に検査で呼吸機能の低下が認められた場合、喫煙者は禁煙することでCOPDの発症を防ぎ、進行を遅らせることができる。

 喫煙で落ちてしまった肺の老化レベルを、禁煙することで同年齢の非喫煙者の老化レベル近くまで戻すことができる。禁煙するのは早いほうがよいが、COPDが進行している人にも有効な治療法となる。

 ニコチン依存症と言われるように長年の喫煙習慣から脱却することは容易ではない。壊れつつある自分の肺のX線写真などを見ることや、酸素ボンベを抱えた別の患者の姿を外来待合室で目の当たりにすることで、禁煙を決意する人も少なくないという。

 自力で禁煙が難しい場合は、医師のアドバイスや禁煙補助薬を使用してたばこをやめていく禁煙外来を利用する方法もある。全額自己負担だと4万~6万円はかかるが、質問票への回答でニコチン依存症と診断され、「1日の本数×喫煙年数=200以上」などの一定の条件を満たせば、健康保険(3割負担)で1万3千~2万円程度で治療が受けられる。治療期間は8~12週間、その間に毎日たばこ1箱を購入するよりは安い金額だ。

 喫煙経験があり、息切れや長引く風邪など、気になる症状がある人は、まずは呼吸機能検査を受けてみてほしい。(ライター・山崎正巳)

週刊朝日  2018年10月19日号

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