室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
この記事の写真をすべて見る
(c)小田原ドラゴン
(c)小田原ドラゴン

 作家の室井佑月氏はまともな答弁をしない安倍首相に呆れる。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *

 9月14日、記者クラブ主催の自民党総裁選討論会があった。安倍首相と石破氏。

 あたしの印象に残っている言葉は、こういったものだった。

石破「記録を全部公開し、国としての方向性を決め、有権者に正面から向き合う。その際、自分の立場でものを言わない」

安倍「政治家というのは、学者じゃないし、評論家でもない。正しい論理を述べていればいいのではない」

 いやいや、安倍さんはもっとびっくりするようなこともいってたな。石破さんにアベノミクスを批判され、

「今の安倍政権がとっているのはトリクルダウンの政策だと石破議員から発言がありましたが、私はそのようなことは一度も申し上げたことはございません」

 だって。

 安倍内閣は、アベノミクスによるトリクルダウンで、すべての国民生活が豊かになるって豪語してたじゃん。

 そのほかにも、記者から、

「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと一貫していいつづけてきたが、どうなっているのか?」

 と尋ねられ、

「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと私がいったことはありません。ご家族でそういう発言をしている方がいるのは承知しておりますが」

 だってさ。

 安倍さんは、自分の都合の良い専門家の話をあげ、自分の正当性を訴える。でもって、質問に正面から答えず、相手の言葉尻をとらえて、憤慨してみせたりする。失敗を指摘されると、ほんとは上手くいってるが、まだ話せないという。

 これが一国の総理か? あたしだったら旦那にするのも嫌だけど。

記者「モリカケ問題、なぜこんなことになったのか?」

安倍「文書の改ざん、あってはならない。李下に冠を正さず」

 あってはならないって答えじゃねーだろ。李下……なんとかの一つ覚え。

記者「国会答弁でもきちんと誠実に答えていないという声もあるが」

安倍「今までも誠実に答弁してきたつもり。信頼回復のため、ひとつひとつお約束していたことを実行していく」

次のページ