子どもの側にもできることはある。まずは、きょうだいで介護家計簿をつけること。親の介護関連で自分が出した金額は、こまめにメモしておく。レシートもとっておけば安心だ。誰がどれだけの金額を出したかがわかれば、遺産分割のときにも役立つ。
さらに、事後報告をなるべく避けること。特にきょうだいで何かを分担したいときには、前もって相談することが欠かせない。連絡はなるべくこまめに取り合えるよう、LINEグループなどを作っておくと良い。
「何かを負担したら、レシートを撮って送り合ったりと、それぞれがお金を出したり動いたりするたびに、共有し合うのも手です」(黒田さん)
とはいえ、介護の負担を、きょうだい間で完全に平等に分けることは不可能に近い。それぞれの家庭の事情もある。格差が解消できないならば、きょうだい全員がそれぞれの負担を納得することを目指そう。
「きょうだい間で経済的な差があるのは、仕方がないこと。だから介護の負担度合いは、きちんと話し合って進めることが必須なのです」(深田さん)
介護生活に入る前に、きょうだいで親の介護をどう担っていくかを決めておくのが理想だ。このとき、誰がどのような状況なのか、誰がどの程度の介護を担えるのか、介護費用が親のお金で足りなければ、誰がいくら出すかなど、腹を割って話し合う。金融資産や年金の収入額も含め、親の所有資産も確認しておく。話し合いに親も同席できると、意向が聞きやすい。分担は平等でなくても、とにかく納得するまで話し合うことが大事だ。
「介護は長い道のりなだけあって、きょうだいがどれだけ腹を割れるかが大事。身の回りの世話などマンパワーが出せない人は、金銭面で支えるなど、助け合いの精神がないと成り立ちません」
ファイナンシャルプランナーの岡本典子さんは言う。介護の方針が決まれば、後々もめないように、最初のうちに細かいところまでルール化しておくと良い。
また、それぞれの援助額を決めるときには、自分たちの家計のキャッシュフローを紙に書き出して、説明し合うと良い。