オイルランプは暖房効果もある。空気の通り道を確保してから、ランプの上に素焼きの植木鉢をかぶせると、ストーブ代わりになる。余震が続いている場合は火事の危険もあるので、要注意だ。ランプから離れるときは、必ず火を消そう。
「どれもちょっとした技ですが、身の回りにあるものをうまく活用すればいいんです」(同)
暑い時はどうするのか。フジイさんは気化熱をうまく使うことで、この夏もエアコンなしで過ごした。気化熱とは、水などの液体が蒸発するさいに、熱を奪っていく作用のことだ。
厚手のポリ袋の底に画びょうでごく小さな穴を開ける。水を入れてベランダにつるし、水が垂れるようにする。2リットルほど入る袋なら、4~6時間はしたたり続け、水が蒸発することで涼しくなる。
停電が長引けば水道も止まってしまう。雨を上手に活用する。フジイさんはベランダに半分に割った竹を設置していて、ポリタンクに水をためる仕組みになっている。一般家庭は、雨どいを利用すればいい。ビニールシートを敷いて水を集める方法もある。
「洗濯機のすすぎ水やお風呂の水は、捨てないで水洗トイレに活用しましょう。こうしたことは、普段から慣れていたほうがいいと思います」(同)
災害時に重要なのは情報だ。電気を使わない生活を徹底するフジイさんでも、「情報」だけは電気が必要だという。
自力で発電できる手段を持っておくことは、非常時に役立つ。フジイさんはソーラーパネルや、足こぎや手回しの発電機を利用している。
停電時には公衆電話が頼りになるが、数が減っている。意外と知られていないが、昔ながらの黒電話などは停電中でも使えること。
「電話がつながれば家族の安否を確認できる。被災地以外の人から、必要な情報を伝えてもらうこともできます」(同)
停電はいつでも起こりうる。フジイさんのノウハウを参考に、準備しておこう。(本誌・吉﨑洋夫)
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