映画は監督のものと割り切り、撮影現場では“素材”に徹している安藤さんだが、自分で撮るスチール写真に対しては、強いこだわりがある。「もう20年撮り続けていますが、“表現”に関しては、写真でやりたいことを全部やってますね。写真って、心も身体も静止した状態で見ていられるというのが、すごく素敵だと思う。花や風景が写っているだけでも、そこに時間も表情も感じられる。映像は流れていくけど、写真は静止し続けて、それなのにずっと何かを感じ続けられる。それが面白くて仕方がない。写真だけはやめられないですね(笑)」
安藤さんにとっては、芝居以上に集中できるのが写真なんだとか。
「芝居以上に無我の状態になれるから、初めて会った女の子を撮っていても全然恥ずかしくない。でも撮影が終わった途端、被写体だった相手と目を合わせて話すのが難しくなる(苦笑)。至福の時間? 写真を撮っているときと、自分の写真を、じっくり見てもらえたときかな」
※週刊朝日 2018年9月14日号