女性はスマホを取り出して、手料理の写真を見せてくれた。かぶら蒸しの上にサソリが標本のように乗っている。「意外な組み合わせレシピ」としては、究極である。女性はその極意をこう語った。
「かぶら蒸しの餡の塩気が強すぎたので、サソリで味をマイルドにしようと思って合わせてみました」
昆虫食の認知が進めば、料理のレシピは際限なく広がっていくにちがいない。
その後、昆虫料理研究家の内山昭一さんに、昆虫食の特徴とその魅力をきいた。内山さんオススメはカミキリムシの幼虫だ。
「マグロのトロの味と言ってもいい。串で刺して照り焼きにすると、外側がパリパリで中身がクリーミーで甘く、おそらく日本で一番おいしい昆虫です」
昆虫食を始めるにあたって、留意しなければならない点もある。
「採取する時は、有毒な昆虫がいますので要注意です。ツチハンミョウの仲間は、カンタリジンという強い毒を持っています。それから調理の際は必ず火を通すということ。エビ・カニのアレルギーがある方は、昆虫は同じ仲間なので慎重にしたほうがいいと思います」
キチン質の肌をみるとゴキブリを想起する人もいるかもしれないが、昆虫に対する不潔なイメージは偏見というもの。身近な食材としてスーパーに並ぶ日も近い?!(本誌・亀井洋志)
※週刊朝日オンライン限定記事