1989年から厚生労働省と日本歯科医師会が推進している「8020(ハチマルニイマル)運動」。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。2016年の「歯科疾患実態調査」では8020達成者の割合がついに50%を超えました。これからの時代、8020の達成は当たり前のことなのか? 次なる目標として何を目指すべきか? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に聞きました。
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20本以上の歯があれば食生活にほぼ満足できるといわれて始まったこの運動。開始後、初の調査(1993年)では、達成率はわずか10.9%、80歳の歯の数は平均5.9本でしたから50%を超えたことは、あらためてすごいことだなと思います。
さらに、国民の健康増進に関する目的を定めた「健康日本21」では50%の達成率を2022年までに実現することが目標でした。ですから2016年の段階での実現はかなり早いのです。
実は近年、90歳で20本以上の歯を持っている人も珍しくなくなりました。地域の歯科医師会には「9020運動」を展開しているところも出てきています。
私の所属する渋谷区歯科医師会でも2018年6月3日に「よい歯のつどい」というイベントを実施、渋谷区にある歯科医院が8020と9020、さらに100歳で20本以上の歯を持っている、10020の達成者を推薦し、このうち来場した人を表彰しました。
推薦された人は9020で27人、なんと10020も1人、いらっしゃったということです。実際にはかなり多くの人が9020、10020を達成していると考えられます。
■歯磨き1日2回以上が8割弱
高齢でも多くの歯が残せるようになった背景には、啓発運動によって歯の大切さが周知されてきたことが大きいでしょう。2016年の歯科疾患実態調査で、歯みがきを1日2回以上する人の割合が77%にまで増えていることもその一つといえます。