芝公園のクスノキ(撮影/倉田貴志)
芝公園のクスノキ(撮影/倉田貴志)
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 都市には樹齢を重ねた巨木が多く残っている。そんなご長寿な木について、「東京巨樹の会」主宰で、環境省の巨樹・巨木林データベースを管理している高橋弘さんに紹介してもらった。

【フォトギャラリー】都会の大先輩!? 街のご長樹さんを一挙紹介

 真夏にはヒートアイランドとも称される大都市で、一時の涼しさをもたらしてくれるのが緑の木々。年輪を重ねた巨木は包まれているような安らぎを与えてくれる。じつは、巨木は都会でこそ多く見ることができると、高橋弘さんは言う。

「街中にある木は、競争相手が少なく、人間に守られて大事に育てられているので、巨木になる条件がそろっています」

 大きな木は森の中にあると思われがちだが、光を求めて高さを競いあったり、水を奪いあったりする戦いがある。生き残っても、強い風雨にさらされるなど、過酷な環境も待ち受けている。人間が近くにいる都市こそ、木が生き生きと育つ。特に東京は巨木が最も多い街なのだ。

「大きな木はつい見上げてしまいますよね。でも目線を落とし、根の張り具合を見てください。紹介した木々は大地をしっかりつかみ、歴史を重ねています。可能なら木の肌に触れてください。きっと木の鼓動を感じることができるはずですよ」

 人間よりはるかに長く生き、私たちを見守り続けている都市の巨木。これからも守り続けていきたい。

■芝公園のクスノキ
東京都港区芝公園4‐8‐4
推定樹齢/300年 樹高/13m 幹周/5.2m

都内のクスノキとしてはトップ10に入る太さとされています。芝公園には大きなクスノキがたくさんあるので、それも見どころです(高橋さん、以下同)

■建長寺のビャクシン
神奈川県鎌倉市山ノ内8
推定樹齢/750年 樹高/13m 幹周/6.59m

太い幹と枝ぶりで関東一の大きさを誇り、同時期に植えられたであろうビャクシンより、より大きく成長し、樹勢も旺盛です。今は柵で囲まれていますが、かつては参拝者が願いをかけながら触れたため、その願いがこの木を大きくしたのかもしれませんね。全国でも有数のビャクシンの古木といえます

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