ただ、この連載中に何回も書いてきたように、今大会は歴史的な常識からするとありえないことがありえない確率で頻発した大会でもあった。最後の最後にワールドカップのジンクスは覆されているのか、クロアチアが全世界で9カ国目となる「ウィナーズ・クラブ」入りを果たしているのか。優勝経験のない国の人間としては、それでも優勝は可能なのだということをクロアチアに示してもらいたい気で一杯なのだが──。

 さて、いつもであれば敗戦とともに急速に少なくなっていく日本代表についての報道だが、今回はいささか様子が違う。もちろん、大会中に比べれば確実に減少はしているのだが、今後の監督人事についての報道は過熱気味である。

 当初は、最悪の前評判を覆したことで一気に評価をあげた西野監督の続投と見る向きが多かったが、帰国直後の記者会見で辞任が明らかになると、内外問わず、多くの名前があがるようになった。

 五輪代表監督の森保一? 素晴らしい。実はハリルホジッチの解任を支持しつつ、西野朗の監督就任にわたしが「消極的賛成」だったのは、どうせなら2年後のことを考えて広島で素晴らしいサッカーを展開した森保に任せた方がいいのでは、と考えたからだった。

 元ドイツ代表、元アメリカ代表監督のユルゲン・クリンスマン? 悪くない。若いころからボロボロのフォルクスワーゲンでアメリカ大陸を旅したという彼であれば、日本という未知なる国でもうまくやっていけるかもしれない。

 プレミアリーグのチェルシーやスパーズで指揮を執ったアンドレ・ビラスボアス? これまた悪くない。中国リーグで指揮を執った経験もあり、アジアへの理解もあるはずだ。

 ただ、誰を監督に据えるにせよ、絶対に間違えてはいけないポイントがある。

 まる投げは、いけない。

 過去の日本代表の監督選びは、ある意味、監督個人にすべてを委ねるようなところがあった。どういうサッカーをやるかは監督次第。日本サッカー協会が、日本がやっていたのは素材をすべて監督の前に差し出し、「あとはお任せします」というやり方だった。

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