春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。JFN系FM全国ネット「サンデーフリッカーズ」毎週日曜朝6時~生放送。メインパーソナリティーで出演中です。「週刊朝日」の連載をまとめた、初エッセイ集『いちのすけのまくら』(朝日新聞出版刊行、1500円+税)が、絶賛発売中です!
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。JFN系FM全国ネット「サンデーフリッカーズ」毎週日曜朝6時~生放送。メインパーソナリティーで出演中です。「週刊朝日」の連載をまとめた、初エッセイ集『いちのすけのまくら』(朝日新聞出版刊行、1500円+税)が、絶賛発売中です!
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春風亭一之輔が「さばサンド」愛を語る(※写真はイメージ)
春風亭一之輔が「さばサンド」愛を語る(※写真はイメージ)

 私の全国ツアー『一之輔のドッサりまわるぜ』が始まった。通称『ドサまわり』。今年で6年目だが、よくこのタイトルで苦情が来ないものだ。お客さん、怒ったほうがいいよ。ツアーといっても土日の日帰りか1泊。同行者は舞台監督・物販を一人でこなす男性スタッフA氏のみ。これホントにツアー? どれだけロンリーなツアーか。先日の大阪公演を日記風に記します。

AM7時 起床 いつもの朝。

 AM8時半 東京駅 A氏と新幹線ホームでおちあう。眠気で言葉かずは少ない。水だけ買って乗車。ネタをさらおうと思うも居眠り…気づいたら三河安城を過ぎていた。隣席は外国人。C・W・ニコル似のオジさんがずーっとなんか食っている。体臭が過多。ネタは決まらず。

 AM11時 新大阪駅着 地元のイベンターさん(60代・男性)が一人でお出迎え。タクシーにオジさん3人。会話はないが天気は抜群に良い。

 AM11時15分 府立労働センター「エル・おおさか」へ。キャパ700人。舞台チェック。とにかく古い。「ゴー!」という過剰な冷房音。バネが飛び出しそうな椅子席。舞台番のオジさんが「ほんま松井知事に言うてくださいよ! 建て直せぇよって!」。知らんわい(笑)。

 AM11時45分 楽屋で弁当。ハンバーグ・揚げ物・煮物…。茶色ハイカロリー。この日の前座・露の眞さん到着。古田敦也似の30代女子。「美人は性格がもれなく最悪です」などと、言うことがひねてて素晴らしい。

 PM0時半 客入れ 下着姿で楽屋をふらふらする私。ネタ決まらず。今日はなりゆきだ。

 PM1時 開演 舞台袖にあった、労働組合が忘れていったであろう「団結」と書かれたヘルメットを被ってオープニングトーク。「ギャラ上げろーっ!!」とお客さんとシュプレヒコール。一席目「夏どろ」、二席目「ひなつば」は完全に予定外。しゃべりながら冷や汗。なんとかオチまでたどり着き、仲入り休憩。休憩中は楽屋でひとりぼっちだ。私にセコンドはいない。

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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