このため、まずは早期発見が重要だ。CKDは特定健診など一般の健診でその兆候を見つけられる。筑波大学病院腎臓内科教授の山縣邦弘医師はこう言う。

「チェックしてほしいのはGFRの値と尿たんぱくの項目です。GFRは血液検査で、尿たんぱくは検尿で判定します。GFRの値が記載されていない場合は年齢、性別と血清クレアチニン(筋肉で作られる老廃物の一種。ほとんどは腎臓から排泄される)の値から算出する計算式で求めることができます。日本腎臓学会のホームページに紹介されています」

 GFRが正常範囲でも毎年の変化を確認することが必須という。下がり続けていることに気づかないまま、10年後、20年後にCKDになることが多いからだ。

 なお、尿たんぱくは「+」(陽性)、「±」(弱陽性)、「-」(陰性)で示される。特定健診ではこれまで「±」を正常の範囲としていたが、2018年4月からは「CKDの可能性を示唆するサイン」として生活指導が必要となり、連続して「±」だった場合は医療機関受診の対象となった。

「日本でおこなわれた複数の調査で、『±』と出た人の約60%にA2レベル以上のアルブミン尿が認められたことが背景にあります。糖尿病の場合、ごく少量のたんぱく尿の段階で管理をすることが極めて重要といわれています」(山縣医師)

「CKDのリスクが高い人や遺伝性の腎炎など家族歴がある人は、尿検査を含めた健診を積極的に受けてください」(要医師)

■新たに登場した腎臓病療養指導士

 CKDでは病気の治療と並行して、腎臓の機能低下を抑えるための生活療法をおこなう。食事療法もこうした治療の一環だ。

 腎臓に負担をかける塩分、たんぱく質の取りすぎに注意する。G1~G2でリスクが高い人は食塩制限(1日3~6グラム未満)があり、G3以降はこれにたんぱく質制限とカリウム制限が加わる。

 しかし、患者の多くが高齢者で、極端な制限は栄養不足からフレイル(身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態)を招く恐れがあり、最近はゆるやかに制限するようになってきているという。

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