同社と、米国系の仲介会社ホームアウェイ、全国古民家再生協会は6月、空き家の古民家を民泊用物件として再生する計画を発表した。古民家に興味を持つ欧米系の旅行者らが、安心して泊まれる施設を増やす。

 不動産総合サービス「APAMAN(アパマン)」は、宿泊者名簿の作成や苦情対応など家主業務を代行する住宅宿泊管理業者の登録を申請。今後、5千室の民泊物件の管理をめざす。

 新法施行で、コンビニはチェックイン業務やカギの受け渡し拠点になる。カギを受け渡しできるボックスや利用登録の情報端末を置き、宿泊客をサポートする。

 訪日外国人旅行者は17年に2869万人で、5年連続で過去最多。政府は20年に4千万人へと増やす目標だ。民泊は宿泊施設不足を解消する受け皿の一つ。拡大するには、騒音やゴミのトラブルを減らす必要がある。一部の自治体は、新法より厳しい上乗せ規制を独自の条例で設けている。

 兵庫県は住居専用地域での営業を全面禁止に。長野県軽井沢町は全域で通年、営業を認めない考えだった。しかし、長野県も条例を設けており、行楽期は全町で規制、そのほかの期間は住居専用地域で平日営業禁止に。同町は「町民らには全面自粛に協力を求める」。

 民泊事情に詳しい広島修道大学商学部の富川久美子教授(観光学)はこう話す。

「民泊を増やしたい国と居住環境を守りたい地方であつれきが生じている。海外では民泊用物件の需要が増え、家賃が上昇し、地域住民が出ていかざるを得なくなった例もある。外国人観光客に依存する観光振興策は危うさも伴う。日本人が気軽に安心して泊まれる施設も増やす必要がある」

 民泊用物件を手離す人もいれば、ビジネス拡大をねらう企業もある。不動産市場や観光産業にどんな影響を及ぼすのか、しばらく目が離せない。(藤嶋亨)

週刊朝日  2018年6月22日号