以前、石原慎太郎さん原作の「弟」というドラマで、石原裕次郎さん役のオファーがきたとき、三浦さんはずっと固辞していたという。

「裕次郎さんのカリスマ性やスター性を、自分が演じられる自信がなかったからです。でも、映像作品はチームプレーなので、演出、撮影美術等が力を合わせて、それらしく見せてもらえればいいわけで(笑)。今回も、試写を観た友人から、珍しく『面白かった』というメールが届いて、ああ、いい作品に参加できたんだな、と嬉しくなりました」

 66歳の今になって、わかってきたことがある。いくら経験や年齢を重ねたところで、若い頃にイメージしていた“悟りの境地”に辿り着くことはないということ。一方で、そんな思い通りにいかない人生を、面白いな、とも感じている。

「90代になったウチの親だって、少しも未来を達観してない(苦笑)。人間、長く生きたって、理想とする年寄りにはなれるものではないんでしょう。いくつになっても、迷ったり、焦ったり、もがいたり。でもだからこそ、人間が愛おしいんです」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日 2018年6月22日号

暮らしとモノ班 for promotion
「プラレール」はなぜ人気なの?鉄道好きな子どもの定番おもちゃの魅力