日本社会のジェンダーギャップは世界最低ランクであることはよく知られている。ジェンダーギャップといえば、経済格差とかそういう数値で表れるものだけど、数値に表れない「性差別」に声をあげていくのはとても難しい。前出の台湾人女性は、「日本の男性とは付き合えない」とハッキリ言っていた。食事すれば当然のように女にとりわけさせるし、一人でラーメン屋に行けば隣の男に「女子力ないね」とからかわれ、ぶつかっても謝らない。
「日本に憧れてきたけど、芸能人止まりです」
ちーん。それを聞いていた日本人女たちは心の中で合掌しながら、「台湾はどうなの?」と一応聞いてみる。すると彼女はこう答えた。
「ここまで街中でイヤな目にあわないかも。新宿駅は、けっこう地獄です」
ちーん。今度は自分のために合掌したくなる。いったい、どこに私たちは向かっているんだろう。ぶつけられた肩の衝撃を思い出し、肩をさする。痛みは一瞬。でも長引く。数値化できない女たちの痛み。
※週刊朝日 2018年6月22日号