肘、手、指が痛い、うまく動かせないという悩みは多く、加齢とともに増える傾向にあるようだ。医療従事者を中心とした読者に向けてメルマガを発行している理学療法士の笹川大瑛さんによると、こうした痛みを1分で解消できる方法があり、コツは招き猫のような手首の運動にあるという。著書『関トレ 関節トレーニングで強い体をつくる』から、内容の一部を紹介する。
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“関トレ”とは関節を守る筋肉を鍛えるトレーニングの略称です。手と指の悩みにも効き、以下の問題を抱えている人にもおすすめです。
・手を握ったり開いたりがスムーズにできない
・指の動きが悪い
・握力が落ちた
・肘が痛い
・手首が痛い
・腱鞘炎(けんしょうえん)
・指の節が腫れる
肘関節は、橈骨(とうこつ、親指側の骨)と尺骨(しゃっこつ、小指側の骨)と呼ばれる前腕の2本の骨と上腕骨からできており、曲げ伸ばしや回旋運動ができるようになっています。細かい手仕事ができるのは手首や指の関節があるからです。指には筋肉がなく、この手首から肘にある筋肉が指の腱とつながることで指を動かしています。関トレでは肘、手首、指の関節を同時に安定させる筋肉を鍛えます。
■手と指の痛みをとる関トレ法
橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん、前腕部の表層にある二関節)は母指球の筋力に強く関与する筋肉です。この筋力が低下すると、母指が反り上がりすぎて力が入らなくなります。指の節が腫れたり、何度も指の炎症を繰り返したりするのはこの筋力の低下が原因です。手首が痛いのも、同じくこの筋力の低下が原因です。
尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん、小指側にある筋肉)は小指球筋に力を入れる際にとても重要な筋肉です。小指側の筋肉なので握力の強さや手首の強さに直結します。この筋肉が弱ると指が過緊張になって指先に力が入りやすくなります。指の第一関節が痛いという人の多くはこれが原因です。
◯笹川大瑛(ささかわ・ひろひで)
理学療法士。運動理論の研究の傍ら、運動・トレーニング、姿勢改善のセミナーを開催。全国より医療従事者が集まるなど、支持を集める。