![カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/a/2/620mw/img_a28d30617440a47ac7d64429ecd2a28c21085.jpg)
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漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「ブラックペアン」(TBS系 日曜21:00~)をウォッチした。
【もしもニノがあのドクターだったら!?「ブラックペアン」のイラストはこちら】
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「お前の退職金1千万で助けてやるよ」
手術中にミスを犯した医師に大金を要求し、代わりに執刀する天才外科医・渡海(二宮和也)。「ドクターX~外科医・大門未知子~」との違いは、病院長ではなく直接医師本人に金を請求するところ?
タイトルの「ブラックペアン」とは、渡海の上司・佐伯教授(内野聖陽)が手術中に使用するカーボン製の黒い鉗子のことだ。ブラックな笑みを浮かべる渡海とブラックなペアン。一体どういう因縁が……と思いきや、ドラマはここから怒涛の横文字祭りだ。
まずはアメリカ帰りの医師・高階(小泉孝太郎)が持ち込んだ最新医療機器「スナイプ」。一見水鉄砲みたいだけど、シュッて差し込めばパッと僧帽弁の治療ができちゃう万能機器(←ものすごく雑な説明)。
そんなスナイプの論文は、日本外科学会次期理事長の座をめぐる東城大教授・佐伯と帝華大教授・西崎(市川猿之助)の争いに大きな意味を持つ。それが「インパクトファクター」。
「すべてはインパクトファクター獲得のため」とか「西崎教授のインパクトファクターが1ポイント上回った」とか。学術誌の論文がどれだけ引用されたか、その医師の研究業績を数値化したものというけれど、あまりに軽々と連呼されるので、楽天ポイントとの違いがよくわからない。
さらに「スナイプ」の次に出て来たのが、手術支援ロボット「ダーウィン」だって。神の手・渡海vs.横文字便利機器シリーズ。どっちにしても結局、手術中に血がブッシャー。「出血止まりません! もう限界です」てところで渡海登場、患者が助かる展開。最初から全部、渡海にまかせなさいよ。っていうか、渡海のセリフ量より、「インパクトファクター」出て来る回数の方がよっぽど多いから。
医師たちの周囲で暗躍するのは、治験コーディネーター(加藤綾子)、医療ジャーナル誌編集長(加藤浩次)、厚労省職員(福澤朗)と、なぜか民放・朝のワイドショーみたいな顔ぶれ。ブラックめざましにブラックスッキリにブラックズームイン!!かい。こんな素人にブラックまかせて、インパクトがファクターするとでも思ってるのか。それよりも肝心のペアンはどこ行った? お客様の中にブラックなペアン、ペアン様はいらっしゃいませんかー?
※週刊朝日 2018年6月8日号
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