合同説明会では多くの企業ブースが立ち並ぶ。どこも自社のPRに躍起だ(c)朝日新聞社
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 新人が職場に来てもうすぐ2カ月。以前は上司や先輩が口うるさく指導していたものだが、今は状況が一変している。人手不足の中で新人が辞めることになれば責任が問われる。怒ることもできず“超過保護”に扱わないといけないのだ。

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 状況の変化は社員研修に表れている。ある人材コンサルタントは、こんな場面に遭遇したという。

「社会人として人とどう向き合うかの研修を進めているときに、新人の受講生がイスからずり落ちそうなくらいだらしない座り方だったので注意しました」

 研修で姿勢や座り方が悪いと、講師や会社の人事担当者から指導されるのは当然。そう思う人は多いだろうが、それは昔の感覚かもしれない。

「その会社の人事の方から、注意する必要はないと言われたんです。今回はマナー研修ではないというのが理由でした」

 海外の研修に同行した際、こんなこともあった。慣れない異文化の地での研修では、体の調子が多少悪くなる受講生がいる。新人といえども社会に出た以上、健康管理も仕事のうち。大事でなければ、自分で薬を飲んでなんとかすればいいのに、今は企業側がすぐに宿泊先で休ませたり、病院に行かせたりしがちだという。

「海外で体調が心配なこともよくわかります。しかし大切にしすぎてしまうことが、新人の成長を阻むことにならないかと感じることもあります」

 このコンサルタントは、ビジネスの世界で生きていくことを思えば、嫌な顔をされても上司や先輩が言うべきことは言ったほうがいいと感じている。だが、最近では新入社員を“お客様”扱いする企業が目立つ。

 例えばある大手電機メーカーでは、新人にはできるだけ負担をかけず、残業もさせないようにしているという。

「かつてはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=仕事をやりながら訓練していく)として、難しい仕事をさせることもあった。今はついてこられずに辞める人が出ると問題になる。人手不足の中でやっと見つけた人材を失いたくないんです。文書整理やデータ打ち込みといった雑用も上司や先輩がやるしかない」(メーカーの40代社員)

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