「EPAやDHAには、体内にたまったコレステロールや中性脂肪を肝臓に運び、血管をきれいにする善玉コレステロールを増やす効果が認められています。そもそもサバの水煮缶は油を使っていませんから、たんぱく質の摂取にはなっても余分な脂質の摂取にはならないところもいいと思います」
なるべく油や調味料を使わず、野菜やキノコ類などたくさんの食物繊維と合わせて調理すれば、立派なダイエットおかずになる。
「肥満は万病のもとですが、60歳を過ぎて極端な食事制限をしたり、急激に痩せようとすることはストレスにしかなりません。肥満が気になる方は50代が最後の減量のチャンスと思ってください」
さて、そこで管理栄養士の牧野直子さんに、余分な油や調味料を使わないで作れる、サバ水煮缶おかずを提案してもらった。
「サバの水煮缶はうっすらと味がついているものが多いですし、サバがもともと含んでいる脂質がありますから、蒸したり焼いたりするだけで十分おいしいおかずが作れます」と牧野さん。
まずは「サバと豆苗の蒸し煮」だ。
「サバ缶も豆苗もスーパーですぐに手に入るリーズナブルな食材なので、節約おかずとしてもおすすめです。
作り方はいたって簡単。豆苗をフライパンに広げ、そこにサバ水煮缶の中身を広げて蒸し煮するだけです。豆苗に水煮缶の汁の味がしみこみ、あっというまにできあがりです」
あっさりとしたやさしい味。しかも約3分でできるとあれば、疲れているときにとても重宝しそうだ。
「これからの季節であれば、豆苗をピーマンやオクラに替えてもいいですよ」
もう一品は「サバ缶とトマトのオーブントースター焼き」だ。これは缶詰を開けて、そこにプチトマトを並べ、オーブントースターで焼くだけで、できあがり。
「魚焼きグリルで焼いてもいいです。アツアツになったら取り出し、お好みで黒胡椒を振りましょう」
う~ん、トマトの酸味とサバの水煮がこんなにも相性がいいとは!
「缶詰のままでできてしまいますから、これはキャンプのときなどにもおすすめです。サバ缶は骨を強化するカルシウム、ビタミンDも豊富。体の老化防止のためにも、適量を積極的に摂取したいですね」
(エディター・赤根千鶴子)
※週刊朝日 2018年5月25日号