小誌が報道した翌24日、25日と連続で衆参の国会に呼ばれた柳瀬氏は、野党から面会の事実について追及されたが、「記憶はない」を連発。2日間で計14回も「記憶にない」「会っていないと思う」などと答弁した。
首相官邸での面会の事実を掴んだきっかけは愛媛県や今治市で加計学園の獣医学部問題について取材している時、関係者から「どれだけマスコミや世間が騒いでも、これは安倍晋三首相からお墨付きが出ているんだ」という話を聞いたことだった。
本誌は加計疑惑について同年3月6日(オンライン版)、『第2の森友疑惑 安倍首相“お友達”大学に公有地36億円を無償譲渡』と特報。獣医学部新設を巡る不可解な顛末の詳細を初めて明らかにしている。
そこから、取材を重ねるうちに官邸を訪問したのは、今治市だけではなく、加計学園、愛媛県も同席していたこと。訪ねた相手が柳瀬首相秘書官だったこと、その時の記録のようなものが愛媛県に残っているなど輪郭が徐々にわかってきた。
「柳瀬氏は多忙なのか、かなり待たされたそうです。部屋に入ってきて名刺交換をすると、矢継ぎ早に話し始めた。その中で、担当者は必死でメモを取りながら、話を聞き、いわば、御指示を御拝聴のような感じの雰囲気だったそうだ。加計学園の出席者が少し質問はしたが、県と今治市はほとんど言葉を発しなかったそうだ」(愛媛県関係者)
そして今年4月、朝日新聞の報道で明らかになったように愛媛県によって<獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について>という忘備録がまとめられ、中村時広知事ら幹部に報告されていた。
そこには柳瀬元首相秘書官が<本件は、首相案件>と発言したことが記され、まさに安倍首相の「お墨付き」を得た面談だったことが裏づけられた。
「地方の役人が官邸に呼んでもらえるなんて、異例中の異例。官邸とのセットは加計学園がやってくれ、今治市に連絡が入り、そこから愛媛県にも来て欲しいと言われ、同行したそうです。まざまざと加計理事長の力を見せつけられたようなもの。面談が終わってから『加計理事長の力はすごい、こうやって安倍首相まで動かせるんだ』という話が参加者から出ました」(前出の愛媛県関係者)
愛媛県の忘備録はこうした証言を裏付けるように、<加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があった>とも記されていた。
しかし、柳瀬氏は4月10日、メディア各社に朝日新聞の報道を否定するコメントを出した。内容は以下の通りだ。