『朝日新聞等の報道に関しまして、以下のコメントをさせていただきます。国会でも答弁していますとおり、当時私は、総理秘書官として、日々多くの方々にお会いしていましたが、自分の記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません。自分の総理秘書官時代には、国会でも答弁していますとおり、50年余り認められていなかった獣医学部の新設がどうなるかという制度論が議論されており、制度を具体的にどこに適用するかという段階ではありませんでした。実際、その後、獣医学部新設を追加規制改革項目として、取り上げるかどうかについては、いわゆる「石破四原則」の決定により、検討が開始されることになり、翌年の平成28年11月に、獣医学部新設が国家戦略特区の追加規制改革事項として、決定されたと認識しています。具体的な地点の選定手続きは、私が総理秘書官の職を離れてかなり時間がたってから始まり、今治市が特区を活用して、獣医学部新設を行う規制改革が決まったのが平成29年1月だったと認識しています。したがって、報道にありますように、私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません。』
だが、この後、農林水産省、文部科学省などで面会を裏付ける文書やメールが見つかり、ついに認めざるを得なくなった。
これで安倍首相が加計学園の獣医学部の計画を知ったのは2017年1月と国会で答弁していたことが虚偽ではないのかという、疑惑が再浮上した。
「首相秘書官だった柳瀬氏と今治市の職員らの面会を週刊朝日に昨夏、すっぱ抜かれて以降、これまでの答弁と整合性がつかないと、官邸に激震が走った。昨年10月には麻生(太郎)財務相の進言で、森友、加計疑惑をリセットするため、解散。大勝して国民の審判を仰いだとやりたい放題だったところ、朝日新聞が今年3月、森友疑惑で財務省が公文書を改ざんしていた件、4月には加計疑惑で官邸での面会のメモ(忘備録)が残されていたことをスクープ。国会が空転し、柳瀬氏に面会を認めさせる方向で正常化させるしかなかった。だが、首相の2017年1月に知ったという答弁はこのまま、国会で維持してゆくようだ」(自民党幹部)
だが、2015年4月に作成された忘備録には「首相案件」という言葉を柳瀬氏が発したと記されており、大いなる矛盾となる。また、加計学園は当時、本誌の取材に対し、「柳瀬氏とは会っていない」などと否定。柳瀬証言が崩れたことで加計学園や今治市も苦しい対応に迫られそうだ。
安倍首相の“政治の師匠”でもある小泉純一郎元首相は4月、忘備録についてこう語っている。
「記録と記憶ね、記録のほうが正確だと思っている人が圧倒的に多いと思うけどね。記憶にないということは人間ありますよ。でも、記録残っちゃっているんだからね。これはどっちがうそをついているかは、大体、みんな想像しちゃうよね。早く本当のことを言え、と」
すべてが明らかになる日は来るのか。(ジャーナリスト・今西憲之)
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