医療依存度が高い人を自宅でみることは容易ではない(※写真はイメージ)
医療依存度が高い人を自宅でみることは容易ではない(※写真はイメージ)
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在宅医療を受けた推計外来患者数の年次推移(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より)
在宅医療を受けた推計外来患者数の年次推移(週刊朝日 2018年5月4日-11日号より)

 在宅酸素や胃ろう(栄養摂取のために腹部に開けた穴)など、医療依存度が高い人を自宅でみることは容易ではない。だが、在宅医療では医師や看護師によるキメの細かい支援があるので、家族も心強いようだ。(※患者と家族はすべて仮名)

【図表でみる】在宅医療を受けた推計外来患者数の年次推移

 ヨウコさん(73)は、脳出血で寝たきりの生活を送る夫(76)をみている。夫は胃ろうがあり、5年ほど前から新田クリニック(東京都国立市)の在宅医療を受けている。

「胃ろうの状態はどうですか?」

「周囲が赤くなっていたようで、デイサービスのスタッフの方が入浴後、薬を塗ってくれました」

「この前の血液検査では、腎臓がちょっと悪いような感じでしたけど」

「そうですか。尿の量は変わりませんが」

「では、利尿剤を少量使いましょうか」

 在宅医の宮崎之男さんとヨウコさんの会話は、まるで医師と看護師のようだ。

 夫が病に倒れたのは15年ほど前。やがて認知症の症状も現れ、体の自由がきかなくなっていった。

「施設にお願いする気にはなれなかった。わが家は3人家族なので、一人でも欠けたらさみしいじゃありませんか」(ヨウコさん)

 とはいえ、素人による医療的ケアは不安だ。最初は、看護師に教えてもらいながら、胃ろうから栄養を入れてみたが、手が震えて入らなかったという。

 失敗を繰り返しながらも「何かあったら往診に来てくれる。医師や看護師に聞けばいい」と思えることが救いだった。実際、気になることは「頭にメモして」(同)、医師や看護師が訪ねてきたときに、そのつど解決していった。

「もうみられないと思ったら、施設にお願いすると思う。でも、いまはできるだけのことはしたい」(同)

 今年2月にがんを患っていた夫を看取ったユキエさん(87)。夫に病気がわかったのは一昨年の3月。医師から病気についての話をされた夫は、積極的な治療をせず、自宅で過ごすことを選んだ。

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