農林水産省が加計学園の獣医学部新設計画を巡り、「首相案件」と記された文書が省内で見つかったと発表したのを受け、自民党は16日にも当時、首相秘書官だった柳瀬唯夫経済産業審議官の国会への参考人招致を野党側に提案するという。
しかし、肝心の柳瀬氏は安倍晋三首相の訪米に随行する予定で17~20日までは不在だ。
「柳瀬氏の国会招致は早くても23日以降となり、野党は随行を認めるべきではないと主張しています。だが、官邸は強引に連れていき、少しでも時間稼ぎをする。シリアの空爆やゴールデンウイークなどで世間が森友、加計疑惑を忘れるのを待つ作戦です」(政府関係者)
対する愛媛県の中村時広知事は、官邸へ行った県の職員らが国会に招致されたら、「私が矢面に立つ」と自らが応じる考えを示した。
「4月2日の備忘録は、知事ら幹部の机の上に連絡メモとして置いていたもののようだ。首相案件と似た文言は他の連絡メモにも記されていた。中村知事は加計学園の件で官邸まで行き、首相案件になっているのを知り、『大丈夫なのか』と正直、計画には乗り気ではなかった。ただ、今治市が前のめりで県が却下なんてできるわけがない。柳瀬氏と会ったとき今治市の担当者2人は最敬礼みたいに頭を下げ、『安倍首相と加計さんの関係があり、国家戦略特区はうちのためにやってくれている』と話していました」(愛媛県幹部)
今回の備忘録は自民党内から出たという噂がまことしやかに飛び交っている。
「安倍さんに退場を突きつけるために出したんじゃないか。自民党内ではもう安倍首相の3選は無理だろうという流れになりつつある。連日、派閥の幹部クラスが情報交換で会食。青木幹雄、山崎拓、古賀誠ら長老クラスも後継について話し合っている。安倍さんと共倒れしそうな麻生(太郎)財務相は福田淳一事務次官のセクハラ問題まで勃発し、『やってられんよ』とぼやいていた」(自民党議員)
3選に危機感を募らせる安倍首相は13、14日と大阪府を訪れ、中小企業の視察や府連主催の臨時党員大会に出席するなど精力的に動き回った。