伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリックスが世を去って48年。未発表スタジオ音源を集めた新作アルバム『ボース・サイズ・オブ・ザ・スカイ』がこの3月に発売された。
ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスがイギリスで結成されたのは1966年。デビュー曲「ヘイ・ジョー」がヒットし、全英チャートの6位に。その後、革新的なギター・スタイル、創作性に富んだ曲、圧倒的なライヴ・パフォーマンスが人気を集めた。ロック・シーンに多大な影響を及ぼしたが、70年9月に27歳の若さで急逝した。
生前に公式発表されたのはジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスとしての3作品、バンド・オブ・ジプシーズを結成してからのライヴ作品の4作品のみ。死後、未発表曲やライヴを収録した作品が数多く発表されてきた。
今回の『ボース・サイズ・オブ・ザ・スカイ』は、未発表のスタジオ録音音源を編集した3部作の一つだ。『ヴァリーズ・オブ・ネプチューン』(2010年)、『ピープル、ヘル・アンド・エンジェルス』(13年)に続く最後の作品にあたる。収録したのは68年1月から70年2月までに録音された曲で、ほとんどが初出の未発表音源という驚きの内容だ。
一番の聴きどころは、ジミとバディ・マイルス(ドラムス)、ビリー・コックス(ベース)によるバンド・オブ・ジプシーズ(以下BOG)のセッションで、5曲入っている。
1曲目の「マニッシュ・ボーイ」は、BOGとしての初セッションでの音源だ。マディ・ウォーターズのカヴァーだが、オリジナルよりもテンポアップしている。オン・ビートでスピーディーにスネアをたたき続けるバディ。それに応えるように、ジミはファンキーでリズミックなギターを弾き、トーキング・ブルース風の軽妙な歌を披露している。
続く「ラヴァー・マン」もBOGの演奏。B・B・キングの「ロック・ミー・ベイビー」を下敷きに、歌詞も改めたジミのオリジナル作だ。ライヴでもよく演奏され、スタジオ録音もされたが、公式には発表されなかった。ジミのスピーディーなリズム・ギターやリフが絶妙で、途中には「バットマン」のフレーズも交じる。ジミのワイルドなシャウトもいい。