この過程を肺の三つの部位(右下肺の気管支、左下肺の気管支、左右上肺の気管支)に分け、3回にわたっておこなう。1回の治療につき2日以上の入院が必要で、治療の3日前から喘息症状を抑えることを目的に、飲み薬のステロイドを服用する。治療後、次の治療を開始するまでは3週間以上の間をあける。

 16年にこの治療を受けたのが、喘息歴38年の田村隆さん(仮名・67歳)。吸入ステロイド薬や気管支拡張剤だけでは効果がなく、飲み薬のステロイドを追加しても1年間に4回以上も喘息発作を起こしていた。

「経口ステロイドは安価でよく効く薬だが、長期間飲み続けると感染症など副作用のリスクが大きくなる」と考えた杉山医師は、田村さんに気管支サーモプラスティ治療を実施。経過は良好で、1回目の治療の翌日にはすでに痰の量が減った。全治療を終えてからは咳や喘鳴も少なくなり、夜中に咳などで起きる回数も減ったという。

「この治療を受けた患者さんの半数以上で同様の効果を得ています。喘息が悪化した例はありません」(同)

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