

放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回はテレビ業界の「働き方改革」について書く。
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この1年の間に、テレビの世界も「働き方改革」で本当に改革されてきました。一番の問題はADさんです。ADといえば過酷な仕事というイメージを持つ人がほとんどだと思います。ですが、とある局の会議で、ADさんが全然違う資料を配り始めたんです。そこで僕が「あれ? この資料、違くない?」と指摘すると、そのADさん、さらっと「あ、」とだけ言って回収しました。そこでプロデューサーが「頼むよ」と優しく注意。会議終わりに、僕がプロデューサーに「ちょっとさっきのミスに対して、優しすぎない?」と言うと「若い人に厳しく言うとやめちゃうんですよ。今の時代、ADさんを確保するのも大変なんですから」と言っていた。以前は、テレビの世界に飛び込んで働きたかった人がたくさんいたのだが、今は、お願いをする時代になってきたのか。そこに働き方改革。ADさんの仕事といえば、会議の参加、そのための資料作り、リサーチ、台本を整理して打ったり、本番のスタンバイをしたり。
本番で働いて、編集に立ち会って、何日も家に帰らないADさんが当たり前だった時代。深夜、テレビ局に行けば、椅子を並べて寝ているADさんの姿をたくさん見かけました。ですが、最近、そういう光景を見なくなりました。そりゃそうです。深夜の会議もほぼなくなりましたしね。
ADさんを長時間拘束して、働いてもらうことができなくなってくる。ADさんの数を倍にして分業にすればいいんでしょうけど、人件費がとんでもないことになってきますよね。
予算が下がっている番組も多い中ではかなり無理がある。
だからこそ、分業制の人材派遣会社を作る人が出てくるんじゃないかと思ってます。例えば、時間のかかる編集作業にだけ立ち会う派遣とか。会議のために資料を作るだけの人とか。カンペを書くだけの人とか。