林:監督、まだお若いんですよね。よくこんなリアルに当時を描けましたね。
柄本:ものすごく研究されたみたいですよ。末井さんとお話しして新たなエピソードを入れたり、末井さんが当時の雑誌をいっぱい持ってきてくれて、それを撮影に使ったり。やっぱり本物っていうのは、説得力があるんでしょうね。
林:この映画を見て、性欲ってすごく健全なエネルギーなんだと思いましたよ。若者がエッチな本を読むために必死になってお金をためたり、テレホンセックスしようと高校生の男の子が必死になって電話かけたり。可愛いじゃないですか(笑)。あのころの男の人、みんなギラギラしていて。
柄本:汗かきながら必死でエロをやってるって、いいですよね。ある種の熱量みたいなものがあったんだろうなと思います。
林:今の若い子って、女の子とつき合わないで、ネットでエロサイト見てすませますよね。エロ本を求めて歩くというのが、健全な性欲だと思うんですけどね。
柄本:俺は紙に触れてましたね、エロを見るのに。高校から帰る途中にゲーセンつきの本屋があって、ちょっとエッチな本が並んでるんですけど、それを買ってみんなで読んで、通学途中にある非常階段のところに隠しておくんです。雨でバリバリになったり、誰かに持ってかれてなくなったりするんですけどね。小学生か中学生ぐらいのころは、近くの大学の建物裏に隠してあったの見つけたり。葉っぱがかかってるのをササッとどけて、友達と「おい見ろよ。すげえなあ」とか言いながら。
林:いい話だな(笑)。それぐらいやってほしいですよ。苦労もしないでタダでそういうものを見ようと思っちゃダメだと、声を大にして言いたいです。ちゃんとそういうことをしてた人が、恋愛して結婚できるんだと思うな。
柄本:そうかもしれないですね(笑)。
(構成/本誌・野村美絵)
※週刊朝日 2018年3月16日号より抜粋