国際政治学者の三浦瑠麗氏のテレビでの発言が批判を浴びている。瑠麗氏によれば、今、ソウルや日本には一般人を装った北朝鮮のテロリスト分子が潜んでいて、「大阪がやばい」ということらしい。
根拠ゼロの乱暴な物言いは当然、激しい批判を浴びた。このようなデマに殺され、今も痛む人の存在が全く見えていないことに驚くが、「このレベルの発言が難しいとなれば、この国でまともな安保論議をすることは不可能です」と瑠麗氏は反省する気配もない。まるでタブーに挑戦し、学者としての使命を負っているかのようだ。
瑠麗氏を見ていると、ケント氏が小物に見えてくる。ケント氏にはお金や友だちが欲しいんだろうと思わせる隙があるが、瑠麗氏は何を目指してるのか分からない怖さがある。だいたい本気で安保考えてる人が、「大阪がやばい」って、軽すぎるでしょ。
瑠麗氏といえば、首を傾け、上目遣いで相手をねっとり見る媚と、批判的な意見には、にたにた笑い、いなす無礼の絶妙なコンビネーションが印象的だ。絶対に自分は間違えないという傲慢と、媚のちぐはぐさは、この国の超高学歴女性に時々見うけられる幼稚な全能感に見える。全能感があるからこそ、思想的には風次第で右にも左にも軽やかに飛べる。欲しいのは自分が放つ影響力だけだから。そんな瑠麗力、ネトウヨ国家とは、とても相性がいいのだろう。
※週刊朝日 2018年3月9日号